【日本版DBS】対象者を決める「継続性」と「閉鎖性」の境界線|迷うグレーゾーンを徹底解説

はじめに:対象者を決める「3つの要件」のおさらい

2026年12月に施行される「こども性暴力防止法(日本版DBS)」。 本制度において、従業員が「犯罪事実確認(犯歴チェック)」の対象となるかどうかは、以下の「3要件」をすべて満たすかどうかで判断されます。

  • 👑 支配性: こどもに対して指導等を通じ、優越的な立場にあるか。
  • 🔄 継続性: 反復的・継続的に接するか。
  • 🚪 閉鎖性: 第三者の目が届かない状況(密室)があるか。

このうち「支配性」は、教育・保育の現場であれば大半のスタッフが該当してしまいます。そのため、実務上「対象になるか・ならないか」の分かれ目となるのは、残る「継続性」と「閉鎖性」の2つです。

今回は、実務担当者が特に判断に迷いやすいこの2つの要件について、具体的な判断基準を解説します。


1. 「継続性」の判断基準~期間ではなく「関係性の継続」~

児童対象性暴力には、時間をかけてこどもの警戒心を解き、心理的な結びつきを強めていく「性的手なずけ(グルーミング)」という特有のプロセスが見られます。 そのため、ガイドラインにおいて継続性は、単純な「雇用契約の期間」ではなく、「密接な人間関係が築かれる頻度や反復性」から総合的に判断されます。

🔴 継続性「あり」(対象)

【定期的・反復的な業務】

週1回、あるいは月2回など、不定期であっても反復・継続が見込まれる場合。

(例:週数回指導する塾講師、定期開催のスポーツコーチ等)

【短期の集中プログラム】

期間が数週間程度であっても、その間「毎日密接に接する」場合は、継続性があるとみなされます。

(例:教育実習、保育実習、夏期講習の専属アルバイト等)

🔵 継続性「なし」(対象外)

単発・1日限りの業務】

その場限りの接触で、後日に人間関係が継続しないもの。

(例:1日だけ来るゲストスピーカー、年1回のバザーの保護者ボランティア)

【突発的な接触】

緊急時などに突発的に接する場合など、児童等との接触が一時的なもの。

(例:たまたま施設を訪れた業者、急病対応時の単発の介助)

2. 「閉鎖性」の判断基準~「死角」の有無とオンラインの扱い~

児童対象性暴力の多くは、第三者の目が届かない、あるいは周囲から見えない「密室」のような環境で発生します。ガイドラインでは、「他の職員や保護者等が同席しない状況」を閉鎖性と定義しています。(※従事者1人に対して、児童が複数いる場合も「閉鎖性あり」となります)

🔴 閉鎖性「あり」(対象)

【視認性が低い環境】

個室、死角のある場所、カーテンなどで仕切られた空間での指導や介助。

【💻 オンラインでの接触(要注意)】

SNSやコミュニケーションアプリ、オンライン学習ツールを通じた接触も、**第三者の目が届かないため「閉鎖性あり」**とみなされます。

🔵 閉鎖性「なし」(対象外)

【常時、第三者の目に触れる状況】

常に他の職員や保護者などの大人が同席し、一対一になることが物理的にあり得ない環境。

【突発的・一時的な閉鎖環境】

災害や急な事故などにより、予期せず一時的に閉鎖環境が発生したとしても、それは本来の業務上の「閉鎖性」とは判断されません。(また、録画配信など双方向のやり取りがないオンラインも対象外です)

【突発的・一時的な閉鎖環境】

災害や急な事故などにより、予期せず一時的に閉鎖環境が発生したとしても、それは本来の業務上の「閉鎖性」とは判断されません。(また、録画配信など双方向のやり取りがないオンラインも対象外です)

🚨 いとま特例(確認結果を待たずに働かせる場合)

急な欠員等で、犯歴確認の手続が完了する前にやむを得ず対象業務に就かせる場合、結果が出るまでの間、事業者はその者を**「特定性犯罪事実該当者(前科がある人)」とみなして**安全確保措置を講じる必要があります。

  • 必須措置: 原則として児童と一対一にさせないこと。
  • 例外: カウンセラー面談等でやむを得ず一対一になる場合は、外から見える透明な教室等で行い、事後に管理職等へ完了報告を行う必要があります。

💡 短期スタッフの再雇用のルール(6ヶ月ルール)

夏期講習のアルバイトなど、一度契約が切れ、数ヶ月後に再び働く場合、毎回確認を行うのは大きな負担です。 ガイドラインでは、「一定の期間(6ヶ月以内)を定めて同一事業所で再び従事する可能性がある」旨の書面を事前に取り交わしている場合、「離職」には当たらないとして、前回の犯歴確認結果を維持できるルールを設けています。

まとめ:環境改善で「閉鎖性」を下げる

「3要件」は、単に対象者を絞り込むため(誰の犯歴をチェックするか)だけの基準ではありません。 事業者が「死角を作らない」「常に複数の目がある環境を整える」という、環境整備に取り組むための指針でもあります。

自社の業務プロセスやレイアウトを見直し、物理的に閉鎖性を下げることができれば、事務手続きの負担(確認対象者)を減らせるだけでなく、こどもの安全を守る最強の未然防止策となります。

Q
オンライン英会話のような「完全リモート」の事業でも対象になりますか?
A

「認定対象事業者」の要件として、認定を受けられるのは原則「対面による指導を行う事業」とされています。そのため、現行の制度では「完全オンラインのみ」で完結する事業者は認定を受ける枠組みに入らない可能性が高いです。ただし、対面とオンラインを併用している塾などにおいて、オンライン指導を担当する講師については「閉鎖性あり」として確認対象になります。

Q
「いとま特例」で働かせている間、保護者にそのことを伝える義務はありますか?
A

法律上、保護者に対する個別の事前告知義務までは明記されていません。ただし、結果が判明するまでは「最も厳格な安全確保措置(絶対に1対1にさせない等)」を講じる法的義務があります。これを怠った場合、行政処分の対象となります。

Q
6ヶ月ルールの「書面」とは、具体的にどのようなものですか?
A

雇用契約書や退職時の確認書などに、「契約期間満了後も、6ヶ月以内に再度、当事業所において児童等と接する業務に従事する可能性があることに同意する」といった特約事項を盛り込む形が想定されます。口頭での約束ではなく、必ず記録(書面・電子データ)として残す必要があります。

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