はじめに:外部人材も「DBSチェック」の対象です
2026年12月25日の「こども性暴力防止法」施行に伴い、事業者は直接雇用者のみならず、現場に介在するあらゆる外部人材についても、法に基づく「犯罪事実確認(DBSチェック)」の要否を判断する重い責務を負います。
⚠️ 施行まであとわずか! 外部人材(派遣・実習生・委託等)の確認漏れや、不適切な情報漏洩は、是正命令や刑事罰の対象となります。今すぐ実務スキームを見直す必要があります。
1. 対象者判定の「3要件」と実態判断の原則
外部人材が法の対象となるか否かは、有償・無償の別や契約形態ではなく、その業務の実態が以下の「3つの要件」をすべて満たすかどうかで決まります。
- 👑 支配性
- 🔄 継続性
- 🚪 閉鎖性
指導や交流を通じて児童等に対し優越的立場に立つこと。日常的な接触があれば原則として認められます。
定期的、あるいは反復継続が見込まれること。週1回のボランティアや、数週間の教育実習は「あり」と判断されます。
第三者の目が届かない状況(個室やオンラインの1対1等)で接する機会があること。
2. 外部人材の種別ごとの確認主体と法的スキーム
受け入れ形態によって、犯罪事実確認の申請主体や責任の所在が異なります。
責任の所在: 実習現場で安全確保義務を負うのは「受け入れ施設(学校設置者等)」です。
確認主体: 実習先の施設が犯罪事実確認を実施します。
大学等の役割: 入学時からの制度周知や、実習前の意向確認サポートを行うことが強く期待されています。
確認主体: 派遣元ではなく、指揮命令権を持つ「派遣先(学校や塾等)」が実施主体となります。
実務上の工夫: 直接の雇用関係がないため、派遣契約において「DBSチェックへの協力」および「不適格時の交代」に関する条項を明記しておくことが不可欠です。
施設等運営者(義務対象): 委託を受けた事業者は「施設等運営者」として、委託元と共同で義務を履行します。
共同認定(認定対象): 民間事業者が運営を委託する場合、「共同認定」を受けることで、委託先のスタッフについても確認が可能となります。
3. 情報管理とプライバシー保護の「絶対禁止事項」
外部人材の確認結果が「特定性犯罪事実あり」であった場合、最大の法的リスクが潜んでいます。
💡 推奨される伝達表現 交代を求める際は、犯歴に直接触れず、以下のような間接的な表現を用いることがガイドラインで推奨されています。
「法第6条の防止措置を講ずる必要があるため、人員の配置変更をお願いしたい」
- 罰則の適用: みだりに他人の犯歴を知らせた場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処される可能性があります。
結論:今すぐ「契約実務」のアップデートを
外部人材を多用する現場では、2026年12月の法施行に備え、以下の「実務の3点セット」を整備しましょう。
- [ ] 募集要項への明示: ボランティア・派遣を含め、特定性犯罪前科がないことを採用・受け入れ条件とする。
- [ ] 意向確認書面の活用: 短期・単発スタッフであっても、将来の再雇用を見据えた書面を取り交わす。
- [ ] 契約書の見直し: 派遣・委託契約に、DBSチェックに基づく人員交代に遅滞なく応じる条項を完備する。
外部人材の活用は「こどもの安全」と「現場の運営」のバランスが重要です。制度を正しく理解し、多層的な防衛線を築きましょう。
- Q派遣スタッフの「犯罪事実確認」にかかる手数料は、派遣元・派遣先のどちらが負担すべきですか?
- A
法的には、照会を行う主体である「派遣先(学校や塾など)」が負担することになります。ただし、派遣契約の中で「DBSチェックに関わる実務費用」の分担についてあらかじめ協議し、定めておくことは可能です。トラブルを避けるためにも、2026年12月の施行前に派遣契約書の見直し(覚書の締結など)を推奨します。
- Q大学から来る教育実習生に「前科」があった場合、大学側にその理由を伝えても良いですか?
- A
絶対にNGです。 大学側(養成機関)に対しても、本人の同意なく「特定性犯罪事実があったこと」を伝えることは法第12条で禁じられており、罰則(刑事罰)の対象となります。大学へは「一対一の接触を避ける等の防止措置を講ずる必要があるため、当園での実習受け入れを継続できない」といった、制度上の文言を用いた通知に留める必要があります。
- Q年に一度だけ来る「ゲスト講師」や「ボランティア」も全員チェックが必要ですか?
- A
原則として、単発(1日限り)の活動であれば「継続性」がないと判断され、チェックの対象外となります。ただし、たとえ1日であっても、こどもと1対1になる時間が長い、あるいは今後も定期的に来る可能性がある場合は、対象となるリスクがあります。迷う場合は「常に職員が同席する(閉鎖性をなくす)」ことで、チェック対象から外す運用が現実的です。
- Q業務委託(清掃や給食)のスタッフに犯歴があった場合、その人を外してもらうことはできますか?
- A
可能です。ただし、委託先企業との契約書に「日本版DBSの確認結果に基づき、不適格と判断された者の配置転換を求めることができる」旨の条項が入っていないと、不当な介入としてトラブルになる恐れがあります。施行までに、委託先各社との契約スキームを「共同認定」も含めて再構築しておくことが重要です。



