こども性暴力防止法(日本版DBS)「閉鎖性」をなくす第三者の同席と周辺スタッフの判定基準

事業者の皆様へ

2026年12月施行予定の「こども性暴力防止法(日本版DBS)」を実務レベルで読み解く連載。

今回は、現場の事業主様から最も多く寄せられる疑問の一つ、「直接こどもを指導しない周辺業務のスタッフは対象になるのか?」、そして「閉鎖性」を打ち消すことができる「同伴者」の存在について深掘りします。

1. 「閉鎖性」をなくす「第三者の同席」とは?

こども性暴力防止法(日本版DBS)の対象となる業務は、「支配性」「継続性」「閉鎖性」の3つをすべて満たす必要があります。どれか一つでも欠けていれば、法律上の確認義務の対象からは外れます。

ガイドラインによる閉鎖性の定義: 「他の職員や保護者等が同席しないなど、第三者の目に触れない状況で児童等と接する機会が生じ得る場合(従事者一人に対して児童等が複数の場合を含む。)には、閉鎖性があるものとして判断すること」

つまり、業務の性質上、「常に他の職員や保護者等の第三者が同席している」ことが担保されていれば、閉鎖性は否定され、日本版DBSの確認対象外となる可能性が高いのです。

つまり、業務の性質上、「常に他の職員や保護者等の第三者が同席している」ことが担保されていれば、閉鎖性は否定され、日本版DBSの確認対象外となる可能性が高いのです。

2. 「他の職員の同席・同乗」があれば対象外になるケース

職種・場面日本版DBSの対象
(閉鎖性あり)
対象外となるケース
(閉鎖性なし)
① 送迎バスの運転手他の職員が同席しない
最後の一人を降ろす際など、車内で「一対一」になる状況が生じ得る場合。
必ず添乗員が同乗する
第三者の同席が徹底され、一対一になる状況が物理的に排除されている場合。
② 医師・嘱託医個別診察・健康相談
年に複数回、診察室等の「密室」で、他の職員が同席せずに接触する場合。
集団健診のみ
常に担任や養護教諭が同席。年1回の一時的な接触であり「継続性」も満たさない。

※「第三者の同席」が閉鎖性を打ち消す重要な鍵となります。


3. 「保護者の同伴」がある場合の考え方

「保護者」の存在も第三者の目に該当します。

  • 親子参加型のプログラム: ベビースイミングや親子リトミックなど、保護者が常に同席し、指導員とこどもが一対一にならない教室。
  • 保護者が常時見学している環境: ガラス張りや同じ空間で、死角がない状況での指導。

ただし、受付スペースに保護者がいるだけで、指導自体は奥の個室やパーテーションの裏で行われているような場合は、「保護者の目(第三者の目)が届かない」と判断され、閉鎖性ありとなるため注意が必要です。

4. 判定の原則:「肩書き」ではなく「接触の実態」

「職種や肩書きだけで対象外になることはない」というのが法の考え方です。

結論から言うと、「職種や肩書きだけで対象外になることはない」というのが法の考え方です。 たとえ「私は事務員だから教える立場ではない」と主張しても、業務の実態としてこどもと密接に関わり、一対一になる機会があれば、対象業務とみなされます。

事務職員・受付スタッフの判断基準

  • 対象(高): 保護者面談中に別室でこどもの面倒を一人で見ることが業務に含まれる場合。自習室の監督を任されており、日常的に進路や生活の相談に乗っている場合。
  • × 対象外(高): 経理や総務専任で、児童が立ち入らない別フロアで勤務している。オープンな受付スペースで事務連絡をするだけで、常に周囲の目があり一対一にならない。

調理員・清掃員などのバックヤードスタッフ

  • 対象(高): 配膳室等で食育指導を行ったり日常的に会話を交わしたりする調理員。児童がいる時間帯に、トイレや更衣室付近など死角で一人で作業する清掃員。
  • × 対象外(高): 業務が厨房内に限定され物理的に遮断されている調理員。児童が完全に下校・降園した後の夜間、あるいは早朝のみに清掃を行う清掃員。

5. 「建前上の同伴」ではNG!

実務上、最も注意すべきはマニュアルと実態の乖離です。

  • 「基本は2名体制だが、人手不足のシフトの時は1名で対応することがある」
  • 「最後の1人を送り届ける直前に添乗員が先に降りてしまう」
  • 「保護者が中座して数十分間こどもと一対一になることがある」

これらは結果的に「接する機会が生じ得る」ため、閉鎖性ありと判断されます。また、災害や急な事故による「突発的かつ一時的な一対一」は閉鎖性なしと判断し得ますが、日常的な人員不足を理由とした一対一は許容されません。

まとめ:物理的環境と人員配置の工夫

「全従業員の犯歴確認を行う」だけでなく、「常に第三者の目がある環境(ツーマンセル体制等)を作ることで、対象業務自体を減らす」というアプローチも有効な選択肢です。 自社の業務プロセスを今一度見直してみましょう。

Q
送迎バスの運転手は一律で対象になりますか?
A

いいえ。常に添乗員が同乗し、運転手と児童が一対一になる状況が物理的に排除されていれば、閉鎖性が否定され、対象外となる可能性があります。ただし、最後の児童を送る際に一対一になる実態があれば対象となります。

Q
事務スタッフも犯歴確認が必要ですか?
A

 肩書きではなく実態で判断します。窓口対応のみで常に周囲の目がある場合は対象外の可能性が高いですが、別室で一人で児童を預かるような業務が含まれる場合は対象となります。

Q
保護者が見学できるガラス張りの教室ですが、閉鎖性はありませんか?
A

 常に保護者の目が届き、死角がない状況での指導であれば閉鎖性は否定されやすいです。ただし、指導の途中で保護者がいなくなることが常態化している場合は、対象とみなされる可能性が高まります。

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