「日本版DBS(こども性暴力防止法)」徹底解説連載。今回は、「既存のデータベース(DB)との違い」について解説します。 実は、日本にはすでに性犯罪歴等を確認するためのデータベースが2つ存在しています。「えっ、もうあるの? じゃあ日本版DBSは何が新しいの?」と疑問に思われるかもしれませんが、既存の仕組みには大きな「穴」がありました。その穴を塞ぎ、こどもを守る網を大きく広げたのが、今回の日本版DBSです。 現在運用されているシステムには以下の2つがあります。
- 特定免許状失効者等データベース(教員対象)
- 保育士特定登録取消者管理システム(保育士対象) 日本版DBSは、これらとは全く異なる次元の「包括的なシステム」として誕生します。
1. これまでの「穴」とは?
既存のDB(データベース)は、特定の「資格」と紐付いた処分歴(免許の失効・登録の取消し)を管理するものでした。そのため、以下のような限界(穴)がありました。
2. 日本版DBSは「ここが違う!」
日本版DBSは、これらの穴を埋めるために、抜本的に異なる設計思想で作られています。
3. 既存DBはどうなる?(併用が必要です!)
「日本版DBSができたら、既存のDBは要らなくなるの?」――いいえ、そうではありません。カバーしている範囲が異なるため、併用が不可欠です。
例えば、「生徒と私的に交際して懲戒免職になったが、逮捕はされなかった」という元教員の場合、日本版DBSでは「シロ」と出ますが、教員DBでは「クロ」と出ます。採用実務では両方の確認を併せて行うことが極めて重要になります。
4. 海外制度との比較から見る日本版DBSの独自性
日本版DBSはイギリスの制度を参考にしつつ、日本の憲法の枠組みに合わせて独自の進化を遂げています。
| 国名 | 対象者 | 確認内容 | 判断主体 |
|---|---|---|---|
| 日本 | こどもと接する業務 | 特定性犯罪の前科 | 事業者 |
| イギリス | こども・高齢者等 | あらゆる犯罪歴 | 国(DBS局) |
| ドイツ | こどもに関わる職種 | 性犯罪含む特定犯罪 | 雇用者 |
| フランス | こどもに関わる職種 | 性犯罪等の特定犯罪 | 行政 |
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日本版DBSの「ここが特徴」
- 「性犯罪」に特化: 職業選択の自由とのバランスを考慮し、最も深刻な領域に絞り込んでいます。
- 「事業者」が最終判断: 国が一律に就業禁止とするのではなく、事業者が配置転換等を判断することで合憲性を確保。
- 「二段階通知」: 犯歴がある場合、事業者の前に本人へ通知。自ら辞退することで、不必要なプライバシー侵害を防ぐ日本独自の配慮です。
まとめ:多層的な防御壁を築く
日本版DBSにより「無資格者」や「場所を変える加害者」への対策は劇的に強化されますが、万能ではありません。
この多層的なチェック体制を構築することで、初めてこどもたちの安全を実効的に守ることができるのです。
- Q日本版DBSと教員DB、どちらか一方で確認すれば十分ですか?
- A
いいえ、両方の確認が必要です。日本版DBSは「前科」を捕捉しますが、教員DBは事件化しなかった「懲戒処分歴」を捕捉できるため、併用することでチェックの漏れを防げます。


