こども性暴力防止法(日本版DBS)の照会フロー|マイナンバー認証と二段階通知の仕組み

「こども性暴力防止法(日本版DBS)」を実務レベルで読み解く連載。

今回は、実際の「こども家庭庁への照会申請フロー」と、照会をかけた後の「結果の通知フロー・訂正請求」について解説します。

「事業者が勝後に調べていいの?」「費用はいくらかかる?」「結果は誰に、どのように届く?」といった実務上の疑問を、ステップごとに紐解いていきましょう。

1. 事前準備:本人への「通知・説明」と「誓約書」の取得

大前提として、事業者が「この人に前科がないか調べてください」と勝手にシステム照会をかけることはできません。適法に進めるため、以下のプロセスが必須です。

  • 事前通知・説明: 対象業務に就くこと、犯罪事実確認の対象となること、システム上で本人がマイナンバーカード等を用いた手続きを行う必要があること等を十分に説明します。
  • 誓約書の取得: 採用選考時に、本人から「特定性犯罪の前科がないこと」を宣誓する誓約書を取得します。

誓約書の重要性: この誓約書は、万が一後から犯歴や虚偽が発覚した際に、内定取消や懲戒処分を行うための極めて重要な法的根拠(重要な経歴の詐称等)となります。

※「意向確認書面」との違い: スポットワーカー等が一定期間(最大6か月以内)に再度従事する際、毎回の照会を省略するために取り交わす特殊な書類です。通常の採用フローで取得する誓約書とは混同しないよう注意しましょう。

2. システム申請フロー:事業者と本人の「二人三脚」

日本版DBSの申請は、事業者が一方的に調べるものではなく、二段階の操作が必要です。

  • 第一段階:事業者によるシステム申請 事業者は、システムに対象者の基礎情報(氏名、住所、生年月日、性別、従事予定日、業務内容など)を入力し、国へ交付申請を行います。 ※事業者が対象者のマイナンバーを収集・入力するフローはありません。
  • 第二段階:本人によるシステム操作と戸籍情報の提出 事業者の申請後、本人は自身のスマホ等を用いてシステムにアクセスし、マイナンバーカードをかざして「本人認証」および「戸籍・除籍情報の提出(登録)」を行います。同姓同名の別人の犯歴を引き出してしまう「名寄せエラー」を完全に防ぐため、厳格な本人確認と戸籍情報の連携が必須とされています。

3. 照会にかかる期間とコスト

 ① 犯罪事実確認の「手数料」は無料: 対象者一人ひとりの照会ごとに手数料はかかりません(無料です)。※事業者認定時の初期費用とは異なります。

照会にかかる期間の目安:

  • 日本国籍の者:2週間〜1ヶ月程度
  • 外国籍の者:1ヶ月〜2ヶ月程度 採用スケジュールを組む際は、このタイムラグを見込んでおく必要があります。

4. プライバシーを守る「二段階通知」と「中止要請」

結果が出た際、犯歴の有無によって通知ルートが分かれます。

  • パターンA:犯歴が「ない」場合 国から直接、事業者に「犯罪事実確認書」が交付されます。
  • パターンB:犯歴が「ある」場合 結果はいきなり事業者には届きません。まず「対象者本人」に対してのみ、犯歴がある旨の通知が行われます(プライバシー保護のための二段階通知)。

本人による「ストップ機能(中止要請)」

本人に通知が届いた後、本人は14日(2週間)以内に、国に対して「事業者への交付中止(中止要請)」を申し出ることができます。この場合、本人は企業に対し「一身上の都合」として辞退を申し出、企業に交付申請の取下げを依頼することになります。事業者は「性犯罪歴」を知ることなく、不適切な人物の就業を未然に防ぐことができます。

5. 誤認を防ぐ「訂正請求」

本人が通知内容に事実誤認(再審無罪、恩赦、照会期間経過など)があると判断した場合、2週間の待機期間中に国へ「訂正請求」を行い、証拠書類を提出できるセーフティネットが用意されています。

まとめ:人事担当者が知っておくべき「待ち時間」の心構え

もし特定の候補者だけ結果が遅かったり、途中で突然辞退されたとしても、「なぜ辞退するのか」を深掘りして聞き出すことは絶対に避けてください。

 「辞退の申し出があれば、速やかに受け入れ、事業者側からの申請も取り下げる」。このドライな対応こそが、プライバシー侵害による損害賠償リスクなどから企業を守る防波堤となります。

Q. 事業者がマイナンバーを預かって代理で申請できますか? A. できません。厳格な本人確認および戸籍情報提出のため、本人自身の端末等によるマイナンバーカード認証が必須となっています(※マイナンバーの個人番号自体を事業者が知ることはありません)。

Q. 犯歴があった場合、事業者にはどう通知されますか? A. 本人が国へ「中止要請」を行い、事業者へ辞退(申請取下げ)の連絡を行えば、事業者には犯歴の事実は伝わりません。本人が辞退せず、かつ中止要請や訂正請求がなされない期間(2週間)が経過した場合にのみ、事業者に確認書が届きます。

Q. 犯歴ありで辞退された際、理由を問い詰めてもいいですか? A. 避けるべきです。本人のプライバシーを守りつつ不適切な就業を防ぐのが制度の趣旨です。一身上の都合による辞退として処理するのが正しい実務です。

Q
事業者がマイナンバーを預かって代理で申請できますか?
A

できません。厳格な本人確認および戸籍情報提出のため、本人自身の端末等によるマイナンバーカード認証が必須となっています(※マイナンバーの個人番号自体を事業者が知ることはありません)。

Q
犯歴があった場合、事業者にはどう通知されますか?
A

本人が国へ「中止要請」を行い、事業者へ辞退(申請取下げ)の連絡を行えば、事業者には犯歴の事実は伝わりません。本人が辞退せず、かつ中止要請や訂正請求がなされない期間(2週間)が経過した場合にのみ、事業者に確認書が届きます。

Q
犯歴ありで辞退された際、理由を問い詰めてもいいですか?
A

避けるべきです。本人のプライバシーを守りつつ不適切な就業を防ぐのが制度の趣旨です。一身上の都合による辞退として処理するのが正しい実務です。

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